東京キモノショー2017 キモノスタイル200
きものの未来協議会
■母から子へ 子から孫へ
~紬は育てるきものです~
きものは着た後に洗ってさえおけば安心だと思ってはいませんか?
でも「洗う」は「劣化」にもつながるのです。ですから慎重に考えなければなりません。
ところで着物を洗う場合、“丸洗い”と言われるドライ溶剤での洗いと、解いて反物に戻し、水を使って洗う“洗い張り”とがあることはご存知でしょうか。
洗い張りは解いて反物に戻した後でないと出来ないので、仕立て代もかかります。
その分高価にはなってしまいますが、人が温泉に入って体が癒されるように、生地もさっぱりとして生気が蘇ります。そして特筆すべきは紬を洗い張りした時の効果です。
1番、2番、3番と順に、お袖のところをそっと触り比べてみてください。
1番→仕立ててから、まだ洗い張りしていないもの
2番→2度洗い張りしたもの
3番→3度洗い張りしたもの
織りの違いはあるものの、明らかに3番が柔らかいと感じていただけますか?
織物の王様である結城紬は、仕立て下ろしは女中に着せるとか、まずは寝間着にするなどと言ったものです。これはまさに洗い張りした後が着心地が良くなるからゆえの言い伝えです。
是非、たくさん着て、一度払い張りしてみてください。
余計な毛羽立ちが落ちて艶が増し、生地目も整い、本当に別物になることでしょう。