源氏物語    右往左翁

紫の ゆかりのいろを うすく こく

あやなし つくる ものがたりかな

「紫のゆかりの物語」は源氏物語を指す言葉である。 平安時代の更級日記には、すでにその呼称で源氏物語が言及されている。 この一首は、光源氏や紫の上、そのゆかりの人々のことがつづられて、それは綾織物のようになって、美しい物語であるという歌意であろう。 作者は日本古典文学を専門とする大学教授であり、自身でも歌集を出版している。 右往左翁は雅号。